派遣3年ルールが近づいたら今後について慎重に考えるべし

有期雇用派遣で働く方にとって一番不安となるのは毎度の契約更新です。派遣先で仕事している期間、いつ次の更新が出来ず終了するのか分かりません。平成27年3月に派遣労働法内に「3年ルール」が改正されたばかりです。同じ派遣先で働けるのは最長3年まで、それ以降の延長は出来ません。これについて筆者の体験を基に記録いたします。

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知っているようで知らない派遣3年までの心構え

いよいよ派遣3年になる時、これからどうすればよいのか考えてみましょう。

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抵触日になればその日から同じところで働けなくなる

派遣で働く方はよく就業条件明示書に記載されている「抵触日」がありますが、これは「派遣期間の制限」を過ぎた最初の日のことです。抵触日には「個人単位」と「事業所単位」の2つがあります。

まず、「個人単位」についてはすぐにお分かりいただけるように、派遣3年目を迎える抵触日になれば1人の派遣スタッフが同一事業所の組織単位(課やグループなど)で働くことが出来なくなります。例えば、筆者の場合、現派遣先は2018年2月13日から始まり、2021年2月13日で個人単位の抵触日となります。

もう1つ分かりにくい「事業所単位」ですが、同一事業所で派遣スタッフを雇用し続けられる期間が3年ということです。抵触日を迎えると、派遣スタッフは個人単位の派遣期間制限が残っていたとしても、派遣先企業の派遣可能期間を超えて働くことはできません。

ただし、事業所の場合は派遣先の過半数労働組合に意見聴取をすることで3年延長することが可能です。

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抵触日が近づいたら派遣元は雇用安定措置の義務がある

3年で派遣終了する時に、派遣元は次のように雇用安定措置が義務付けられています。

同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある方には、派遣終了後の雇用継続のために、派遣元から以下の措置が講じられます(1年以上3年未満の見込みの方については、努力義務となります)。

①派遣先への直接雇用の依頼

②新たな派遣先の提供

③派遣元での無期雇用

④その他安定した雇用の継続を図るための措置

雇用安定措置として①を講じた場合で、直接雇用に至らなかった場合は、別途②~④の措置を講じる必要があります。

アデコより引用

筆者は現派遣先であと半年もせず3年になります。先日、職場の休憩室にてZOOMで派遣元のキャリアコーチと今後について面談をしました。

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キャリアコーチからは「○○さんは、もうすぐ3年(2021年2月13日抵触日)になりますが、今後の更新については先方のご意向次第、場合によっては次の後任スタッフを確保するために区切りの良い年内で契約終了も考えられます。」とのことです。このまま契約期間満了まで継続していくと、年内10月から12月まで3ヶ月更新、そして最後の更新は抵触日まで残り1ヶ月と2週間と中途半端になります。つまり、派遣先次第では状況によっては年内で契約終了してしまうかもしれません。そうすると早いうちに次へ紹介してもらう必要がありますが、新型コロナの影響によって、すぐに決まる保証はないかと認識しています。

もし、今の場所で継続するには2つの方法しかないキャリアコーチは言っていました。1つは就業先で直接雇用してもらう、2つは無期雇用派遣へ転換するいずれかです。

まず、直接雇用ですが、現派遣先では既に他社の派遣スタッフから直接雇用になられた方が2人いらっしゃいます。その方たちはとても仕事の出来る優秀なスタッフたちなので、直接雇用のお誘いがあってしばらく悩んだ上で引き受けたと聞いています。

ただし、直接雇用といっても必ずしも正社員(正職員)とは限らず、契約社員、嘱託職員、パートも含まれます。その辺りの条件はしっかり確認する必要あります。

続いて、個人的に興味を示した無期雇用派遣へ転換は、派遣元の直接雇用になってこのまま現派遣先で契約を心配せず継続することが出来ます。しかし、問題点があります。

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無期雇用派遣へ転換を選ぶ落とし穴

無期雇用派遣の最大のメリットは安定だと思います。無期雇用派遣へ転換の申込みは試験は無く、面接と書類審査で決まるようです。派遣元で入社後、慣れた現派遣先で同じ条件のまま働き続けられますし、万が一契約満了になった場合でも次の仕事が決まるまで休業手当6割を保障され、社会保険も継続します。ここまで筆者は期待していました。

しかし、派遣元のキャリアコーチに詳しく聞いてみると、無期雇用派遣の厳しい現実を知りました。実はデメリットの方が多いです。

無期雇用派遣の最大メリットは確かに安定ですが、実は危険でもあります。

無期雇用派遣へ転換しても、現派遣先との契約満了になった後が大きな落とし穴です。派遣元は次の人事異動を紹介します。人事異動とは当然、今まで有期雇用派遣(登録型派遣)のように期間・時間・場所・業界・仕事内容など自分で選んで働くことが出来ません。例えば、自宅から通勤圏内ですが、最大2時間以内の派遣元が指定する勤務先へ変更することになります。又、新しい派遣先の職務・地域により、時給が変更になる可能性もあるのです。

つまり、通常の登録型派遣では不人気である仕事や職場環境の悪い場所などを含めて指定されてしまうことです。もちろん、残業もあり得ます。派遣元が指定する仕事、例えば電話の多い仕事が嫌で断れば、その場で退職となります。当然のごとく自己都合退職になるので、仮に登録型派遣へ戻して次の仕事が決まらない限り、失業保険が降りるまで3ヶ月待機期間となってしまう可能性大です。

無期雇用派遣は正社員とは全く別であり、交通費支給はあるものの、変動する時給、ボーナスはありません。しかも、希望する条件が選べないので特に家庭の事情を抱えている方やワークライフバランスを求める方にとってはこの方法はおすすめしません。

無期雇用派遣に向く人は、忍耐強く、どこにでも柔軟に仕事が出来る人ではないでしょうか。

本当に無期雇用で働きたいのであれば、普通に正社員を目指して転職活動した方がいいかもしれませんが、このご時世では非常に難しいと思います。

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登録型派遣は確かに不安定だが、自由な働き方が選べる

無期雇用派遣は派遣元の下で社員のように扱うのに対して、有期雇用の登録型派遣はお客様扱いということになります。

登録型派遣は確かに契約期間の定めがあるのですが、自分のライフスタイルに合わせやすい自由もあり、仕事も残業が少なく比較的定時で上がれる所が多いです。

もし、途中で派遣切り(雇い止め)にあった場合、特定理由離職者(※)扱いとして給付制限もなく失業保険が貰えます。国民健康保険へ切り替えるだけですし、国民年金は全額免除も可能です。

※特定理由離職者とは、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が更新を希望したにもかかわらず、更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)

登録型派遣は就業条件を選べるメリットですが、筆者が知っている派遣スタッフの中ではずっと短期を選び続けている方がいらっしゃいました。その方は最近では聞き慣れないキーパンチャーの実務経験があり、入力中心のお仕事をされているそうです。期間限定なので多少人間関係とか嫌なことがあっても割り切れるから良いと言っていました。又、期間限定の中では、派遣先の上司に気に入られて社員へのお誘いもあったようです。

個人的な考えですが、もし、仮に長期の良い仕事が見つからなくても、期間限定の仕事も視野に入れてもいいのではないかと思います。期間は関係なく仕事をしているのですから、どんなかたちでも実務経験として次のステップアップへ繋がるかもしれません。又、派遣先によっては、もし気に入られたら短期から長期の仕事に変わった、社員への誘いなどもあり得ます。

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まとめ

派遣3年になる時に再確認すべきまとめは以下です。

  1. 抵触日になればその日から同じところで働けなくなる
  2. 抵触日が近づいたら派遣元は雇用安定措置の義務がある
  3. 無期雇用派遣へ転換を選ぶ落とし穴 
  4. 登録型派遣は確かに不安定だが、自由な働き方が選べる

現在は新型コロナウィルスの影響により、これからの仕事探しは難しそうですが、ちょうど自分を見つめ直し、新しく磨くチャンスでもあると思います。

以上、最後まで記事をご覧頂きありがとうございます。

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